皆様こんにちは。くまくま、だ。
今年もゴールデンウィークがやってきた。去年の今頃に「来年こそは」って思っていた気がするけど、まさか今年も大差ない状況なのは残念というか、ガッカリというか・・・。あれ、ヌシさん何を読んでるの?
『うん、ちょっと』
何が「ちょっと」なんだよ。僕にも見せろ。
『ちょっと、くまくま』
ムッとするヌシさんを無視して覗き込んだそれは、ドライブのガイド本だった。おっ、気球じゃないか。一度でいいから乗ってみたいな。あ、こっちは工場夜景だ。これも見てみたい。おお、ここもあそこも絶景だ。行ってみたいところばかりだ。だけど、ヌシさんは観光地じゃないページにくぎ付けになっている。ちょっとヌシさん、サービスエリアやパーキングエリアのご飯ばっかり見てないで。本来の目的忘れてない?
『どれも美味しそう・・。全部食べたい・・・。食べ歩きもいいかも・・・』
どうやら僕の声は聞こえていないみたいだ。困ったものだ。
「くまくまさん、こんちにはにゃ。ご機嫌いかがにゃ?」
突然あらわれたミケさんは、僕の返事を聞かずしゃべりだした。
「次はどこに行きたいか聞きにきたにゃ。動物園? 遊園地? ところで、くまくまのヌシさんはなにを見てるにゃ? あ、おいしそうなご飯がいっぱいにゃ!」
ミケにも見せてにゃと言いながら、ミケさんまでもが本にかじりついてしまった。
ややあって、ヌシさんとミケさんはようやく本から顔を上げた。ひょっとして行き先をきめたのか? もしそうなら、僕も連れて行け。
『前にも言ったと思うけど、くまくまのサイズは無理』
なんでだよ、ドライブだぞ、ドライブ。抱いて歩く必要ないじゃないか。
『ドライブにはジュラルミンを連れて行くことにしたから』
ジュラルミン? 金属なんかどうやって連れていくのさ。
『この子の名前だよ。くまくまの代理』
そういってヌシさんが僕に引き合わせたのは、ヌシさんの手の平サイズのぬいぐるみ。
『似てるでしょ? 桜色のクマで』
似てないよ! 全然似てない! 全くの別人、いや別ぬいじゃないか!
『ジュラルミンならカバンに無理なく入るし。ぶら下げることもできるし』
だから連れて行きやすいというヌシさん。ひどいよ。
「くまくまさんは、ミケたちと一緒にお出かけするのにゃ。だから、ヌシさんと行くのは駄目にゃ。あきらめるのにゃ。」
そんなあ・・・。
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