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第13話

皆様こんにちは。くまくま、だ。


 ヌシさんは、雑誌(前話を参照)を片手に旦那さんとどこかへ出かけていった。・・・ジュラルミンを置いて。さぞかしジュラルミンは気落ちしているだろう。ここは先輩ぬいぐるみとして、励ますべきだろう。そう考えて、僕はジュラルミンに声をかけた。

「大丈夫です。気にしてません」

 そうなのか?

「はい、きっと目的地まで行かずに帰ってきます」

 ・・・・。気にしているように聞こえるぞ。そう思い、色々と言葉を変えて話しかけてみたが答えは全て同じ。

「気にしてません」

 つまらないぞ。



「くまくまさん、ミケたちも出かけるにゃ。どこがいいにゃ?」

 そうだなあ、ヌシさんたちがドライブに行ったから、僕らもそれかな?

「希望がないなら、ミケのご主人様が元気ないから、ご主人様の好きなものの食べ歩きにいくにゃ。それでいいにゃ?」

 ・・・・・人の話を聞け。いや、行き先が決まっているなら、それを先に言ってくれ。でもまあ、食べ歩きも悪くない。

「なら早速でかけるにゃ」

 お姉さんと合流し、最初に向かったのはラーメン屋さん。お姉さんは、そのお店の定番のラーメンのトッピング全部乗せ(しかも大盛)を注文し、でてきたそれをペロリと平らげた。驚く僕を横目に、チャーハン大盛と餃子を追加で頼み、それもあっという間に平らげてしまう。

「くまくまさん、せっかくのラーメンが冷めるにゃ。食べられないなら、ご主人さまに食べてもらうかにゃ?」

 あ、いや大丈夫。ちゃんと自分で食べるよ。

 ラーメン屋さんをでると、次は甘いものが食べたいとミケさんとお姉さんに従い、お薦めだというお店にむかう。その道すがら、お姉さんの足がとまった。

「ここのお好み焼きも美味しいの。寄っていっていい?」

「賛成にゃ!」

 え、甘いものって言ったよねという僕の言葉はスルーされてしまった。僕、さっきのラーメンでお腹いっぱいなんだけど。これ以上食べられないんだけど。

 お姉さんとミケさんだけが、かなり大きなお好み焼きを注文し、これもやっぱり綺麗に食べてしまった。いや、二人とも、どこにそんなに入るのさ。

「さ、行きましょうか。くまくまさん」

 お好み焼き屋さんを出て、本来の目的地に向かい始めたと思ったら、またお姉さんが足を止めた。

「ここの鯛焼きも、くせになる美味しさなの」

 あ、甘いものってこれか。てっきりケーキとかパフェとかだと思いこんでた。そっか、これであとお茶でも飲んだらきっと終わりだ。鯛焼きを食べ終えた二人に、そう声をかけると二人は不思議そうな顔をした。あれ、変なこと言ったかな?

「なに言ってるにゃ、くまくまさん。これからパフェを食べにいくのにゃ」

 ええ、ええええ!? まだ食べるの!? 食べられるの!?

「当然にゃ」

 二人に引きずられて入ったお店で、お姉さんが注文した、いや予約していたらしいパフェに僕は仰天した。それ、一人で食べるサイズじゃないよ。パーティーサイズじゃないか。きっと、いや絶対食べきれないに決まってる。そう思ったのに。

「ごちそうさま」

「ごちそうさまですにゃ」

 ・・・・・・これまたペロリと平らげてしまった。いや、すごい。ちょっと、いや、

「どうかしたにゃ?」

 ミケさんが僕の顔を覗き込んできた。まあ、いいか。二人とも幸せそうだから。とくに最初は元気がなかったお姉さんが、少し元気になったみたいだから。



おまけ

 僕が戻ったら、なんとヌシさんたちはとっくに帰ってきていた。なんど、ヌシさんのお腹が痛くなって、途中で引き返してきたらしい。・・・ジュラルミン、恐るべし、だった。

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