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第22話

皆様こんにちは。くまくま、だ。


 前回紹介した新入りの名前は結局「くましろう」になった。「クマシロ(仮)」よりはいいと思うけど、安直な感じは否めない。(ちなみに、将来迎え入れる予定のカラスの濡れ羽色のくまの名前は「くまくろう(仮)」だそうだ。やれやれ)


 自分の名前を聞いたくましろうが、こう言いだした。

「僕にはお兄さんがいるんですね。会わせて」

『・・・・お兄さん』

 ヌシさん、そう呟いたきり黙り込んでしまった。そりゃそうだ。「しろう」は「四」じゃなくて「白」から来ているから、くましろうに兄弟はいないはず。そう説明すれば事足りる。それなのにヌシさんは何やらブツブツとつぶやきながら考えこんでいるんだ。どうしたのさ。

『いや、どの子がお兄さんだろう・・じゃない、どの子をお兄さんにしよう』

 訳の分からないことを言い出したぞ。兄弟って、そういうものなのか? 違うと思うぞ! ・・・・いや、義兄弟の契りを結ぶならそれもありなのか?

『決められないな。まあいいや、養子に出したことにしよう』

 えええええ! それは、ちょっと。そんな嘘をつく必要がどこにあるのさ!! どこに養子に出したんだって聞かれるぞ!! 悪いことは言わない、それをくましろうに言うことだけはやめておけ、ヌシさん!!

 結局、ヌシさんは僕の制止をふりき・・・・ることはしなかった。よかった・・・。だけど、ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間、頭を悩ませる相談をうけた。

『くましろうが、くまくまにお兄さんになってもらいたいって』

 ・・・なんだって?

『いやだから、くまくまがくましろうのお兄さんになる』

 いや、僕、性別不明だよ? ちなみに年齢も不明だよ? なのにどうして僕が「兄」なのさ。くましろうが「兄」になればいいじゃないか。え、くましろうの年齢性別も不明だから先に我が家にきた僕が上だって? いや家に来た順番より体の大きさで決めたほうがいいよ。うん、そのほうがいい。

『なら、くまくまが上だね』

 いや、そんな筈はない。同じくらいだろ? 並んでみれば一目瞭然で分かるから。

「・・・・・・・あれ? 僕の方が大きい?」

『そうだね、くまくまの方が一回り大きいね。じゃあ、桃園の絵を準備するから、くましろうと義兄弟の契りを』

いやまて、僕はOKだしてないぞ。

『くまくまは兄弟欲しくないの?』

 ヌシさんとくましろうが見つめてくる。二人の視線が痛い。

「無理に兄弟にならなくたって、僕とくましろうはもう家族だ。僕はそれで十分だよ」

 だから、無理にどっちが兄とか決めなくたっていい。それでも不満げなヌシさんに、僕はこう言ってしまった。

「僕とくましろうじゃ、頭数があわないじゃないか。くまくろう(仮)がきてからでも遅くはない」

『分かった、じゃあ、くまくろう(仮)が来るまで我慢する』

 こうなったら、くまくろう(仮)が我が家にやってくるのが出来るだけ先になることと、くまくろう(仮)が義兄弟の契りを拒否してくれることを祈るしかない。

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