top of page

第26話

皆様こんにちは。くまくま、だ。


 この前、ミケさんたちに海に連れていってもらったんだ。(前話を参照して欲しい)で、帰ってくるときに、ミケさんから渡されたものがあるんだ。ミケさんに「必ず家に帰ってから見るにゃ。途中で開けるのは絶対駄目にゃ」と言われたから、見たい気持ちをぐっとこらえて帰ってきた。さて、なにをくれたんだろう。ミケさんに貰った容器を開けてみると、何かがぎっしりと詰め込まれていた。中身を机の上に出してみた。・・・なんだこれ。

『あ、シーグラスだ』

 しーぐらす? なにそれ。

『シーグラスはシーグラスだよ』

 説明になってないよ、ヌシさん。

『シーグラス・・・、海岸で拾えるやつ』

 だから説明になってないって。仕方がない、自分で調べるか。ふんふん、なるほど。

『で、くまくま。結局、シーグラスって何?』

 自分で調べな。なんでもかんでも人に教えてもらおうとするんじゃない。



 さて、このシーグラスをどうしたものか。瓶に入れて飾るのもいいけど、何か作れないかな。ストラップとか、アクセサリーとか。いや、僕にそんなことをする腕はないな・・・。いっそ売るか。

『え、人様から貰ったものを売っちゃうの? しかも、貰ってすぐ?』

 いや、それはちょっと駄目でしょ。そう言ったのはヌシさん。え、売るの駄目?

『くれた人が知ったら、がっかりすると思うけど』

 そうかなぁ。じゃあ、飾るしかないか。

『いやいや、何か作ろうよ。せっかくだし』

 なにが「せっかく」なのか分からないんだけど。それに何か作ったからって、貰ってくれる人いないし。

「そんなことはない」

「作ってくれるなら、貰うよ」

「え、欲しい欲しい」

 なぜか僕の周りに皆が集まってきた。くましろうやくまくろう、ゆうゆうだけでなく、シャチまでもが。そのなかには、例の黄色と橙色のシャチもいる。

「「僕もシーグラスを拾うのを手伝ったんだ。売るなんて論外。僕のパートナーに何か作れ、くまくま」」

 うわあ、ちょっと待て、待ってくれ。もし作るとして、一体何個作ればいいんだ? 作れるかどうかの保証もないのに。ヌシさん、助けてよ!

『じゃあ、一緒に作ろう。くまくま』

 ありがとう、ヌシさん。

『ただし、私の気が向いたらね』

 えええええ、ヌシさん、当てにならない!

最新記事

すべて表示

第46話

皆様こんにちは。くまくま、だ。 今年も残すところあと一か月。その一か月の間にある最大イベントと言えば。そう、クリスマス! うちには未だハロウィン衣装を身に着けたままのシャチがいる。いつ脱ぐんだと聞いたところ、こう返された。...

第45話

皆様こんにちは。くまくま、だ。 さて、先月はイベントに連れていってもらえなかった。そして次の機会があれば、僕もお出かけ候補にいれると約束させた。にもかかわらず、ヌシさんは、またまたシャチ(前回とは違う、僕と大きさがそんなに変わらないシャチ)を連れて出かけていった。ひどいじゃ...

第44話

皆様こんにちは。くまくま、だ。  少し前に、うちのシャチたちがヌシさんに連れられて、どこかに出かけていった。うきうきで帰ってきたシャチに、どこに行ったのかを尋ねてみたら、こんな返事が返ってきた。 「写真、いっぱい撮ってもらった」 「くまくまみたいなクマが、いっぱいいたよ」...

Comments


bottom of page