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第27話

皆様こんにちは。くまくま、だ。


 ヌシさん、ちょっと話があるんだけど。

『うん、なに~』

 生返事だな。僕の方を見ようともしない。ヌシさん、ちゃんと聞いてよ。

『うん、聞いてる、聞いてる』

 嘘をつくな、嘘を。なら、僕が何を話したか覚えてる?

『うん、えーと・・・。パートナーを早く探して欲しいんだよね?』

 ほら聞いてない。パートナーが欲しいのは確かだけど、今はその話はしていない。まったくもう、やっぱり聞いてないじゃないか。まだ話していないから、答えられないのが正解だよ。

『くまくま、ひどい! 私をはめるなんて!!』

 ひどいのはヌシさんだろう。まったく。



『文章を書くのも、書いたそれをアップするのにもパソコンを使っているのに、検索ができないってどういうこと?』

 ヌシさんに話をしたら、最初に返ってきた言葉がこれだった。いやだって、やったことないし。それに、パソコンはヌシさんが動画なんかを見るためにほぼ独占しているじゃないか。『そ、そんなことないよ』

 空いた時間、猫とか、ネコとか、ねことか、シャチの動画みてるだろう?

『そ、それだけじゃないもん。他のも見てるよ』

「え、シャチの動画? 僕らも見る。ぜひ見たい」

 僕がヌシさんにツッコミを入れるのに早く割り込んできたのは、例の黄色と橙色のシャチ達・・・だけでなく、彼等を含めて総勢6頭のシャチたち。

「いいなあ、海」

「いいよねえ、海」

「泳ぎたい~」

「海で泳いでみたい~」

 ・・・君ら、ヌイグルミだからね。海に入ったら最後、沈んでしまって二度と浮かびあがれないから。隣でうんうんとヌシさんも頷く。そんなヌシさんにシャチ達が反撃してきた。

「ヌシなんて、シャチのこと何にも知らないからな」

「そうそう、シャチが母系で群れを作ることすら知らなかったんだぜ」

「そんなんだから、この家に最初にきたシャチをオスってことにしちゃうんだよ」

「そんなんだから、尾びれが縦のシャチのヌイグルミにも違和感を抱かないのよ」

「馬鹿だよね」

「ほんと、阿保だよね」

 シャチ達の情け容赦ない言葉に、ヌシさんは落ち込んだ。まあ、ヌシさんの頭が悪いのは今に始まったことじゃないからな。別段、驚きはしない。元気だしなよ、ヌシさん。

「でもまあ、許してあげるよ」

 シャチのこの言葉にヌシさんは顔を上げた。

「仲間を全部で101頭に増やしてくれたら、許してあげるよ」

 その数を聞いたヌシさんは、ブツブツと計算を始めた。そして頭を抱えた。いや、心配しなくちゃいけないのは、金額じゃなくてスペースじゃないのか? え、手乗りサイズならなんとかいけるんじゃないかって? 駄目だろ、シャチ達が自分達と遜色ないサイズじゃないと認めないって言ってるぞ? 

『いや、それはさすがに』

 ヌシさんは、シャチ達を交渉を始めた。さて、どう落ち着くことやら。あ、ヌシさん。僕の頼み事、忘れないでくれよ!

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