皆様こんにちは。くまくま、だ。
ヌシさんに頼み事をしてから、そこそこ日にちが経った。もうやってくれただろうと思って声を掛けた。
『うん? 頼み事って?』
ヌシさんの表情から、僕が頼み事をしたこと自体を忘れているのは明白だ。ひ、ひどい。ひどいよ、ヌシさん。最近シャチにばかり夢中になって、僕のこと忘れてない? その証拠に、最近僕の仲間は増えてないよね?
『そんなことないよ、ほら』
そう言ってヌシさんが僕に渡してきたのは、クマの・・・・・ぎゃあああ、体が無い! ク、クマのな、な、生首っ。
『生首とは失敬な。ちゃんと〇〇の通販でお金出して入手したんだよ?』
そうなんだ・・・。どうしてクマ生首なんか買ったのさ。どうせ買うなら全身あるのを買いなよ。
『頭だけだって十分かわいいもの。それよりさ、くまくま』
なにさ。
『シャチのきぐるみって売ってると思う?』
あああああ、やっぱりヌシさんは僕よりシャチのほうがよくなったんだぁぁぁ!! くっそう、すぐにでも巻き返してやる! そのためには・・・。そうだ、とりあえず優しく接しよう。まずはヌシさんの話を笑顔で聞くことからだ。で、シャチの着ぐるみはヌシさん用かい?
『いや、イルカのヌイグルミ用』
ピンクのイルカのヌイグルミ(サクラと名付けたらしい)を、シャチ達と一緒にしていたのだが、シャチの群れにイルカが一頭。サクラが寂しい思いをしているんじゃないかと心配になり、なんとかしなくれはと考えた結果が、「シャチのきぐるみ」 いやさ、ヌシさん、サクラの気持ちはちゃんと聞いた?
『聞いてない』
聞いてないのかよ。そっちのほうが先じゃないのか? まったく、あいかわらずだな。それに、素直にシャチのヌイグルミを迎え入れたほうが早くないか? え、迎えいれたけどシャチ達に受け入れられなかったって? その迎え入れたシャチを見せてみなよ。
『この子なんだけどさ』
・・・・ヌシさん、この子ずいぶん小さいし、本当にシャチ? クジラじゃないの? これじゃ流石に受け入れてもらえないよ。
『なんで?』
なんでって・・・。シャチ達に同じ位の大きさって言われていただろ? それにこの子、背ビレがないじゃないか。シャチって立派な背ビレがあるだろ?
『ほんとだ、背ビレがない』
言われて気付いたのか。しっかりしくれ、ヌシさん!
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