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第30話

皆様こんにちは。くまくま、だ。


 さて、なぜだかシャチたちが騒いでいる。

「我々は断固抗議する!」

「「「抗議する-!」」」

「我々はサメの仲間ではない!!」

「「「仲間ではない!!」」」

「我々は誇り高きシャチだ!!!」

「「「シャチだぁぁぁ!!!」」」

 ・・・一体何があったのさ、ヌシさん。

『いやさ、これをシャチたちに見せたら、ああなった』

 そう言いながらヌシさんが見せてくれたのは、被り物をしたネコのマスコットフィギュア。ああ、最近よく見るようになった「サメにゃん」だね。でもって、シャチの被り物をしてる。これがどうしたのさ。かわいいじゃないか。

「かわいいだって!?」

「本気で言っているのか、そこの馬鹿クマ!」

「ちゃんと見たのか?」

「それとも、目が見えないのか?」

 酷い言いようだな。何がそこまで気に入らないのさ。そう思いながらフィギュアを手にとった。・・・・あれ、なんか違和感が。

『くまくまも気づいた? 尾びれがさ、ちょっと』

 確かに尾びれがサメっぽいな。縦向きだし、両面とも黒いし。

『それ以上に、サメと一緒にされたって怒ってる』

 でも、似てるじゃないか。サメとシャチ。

「何を言っている。阿保クマ。サメは魚類、我々シャチは哺乳類」

「知能は我々の方が上」

 シャチ達に詰め寄られ、僕はあやうく腰がぬけそうになった。ごめんなさい、許してください。僕が浅はかでした。

「お前がホッキョクグマだったら、迷わず食ってやるところだ」

「でもまあいい」

「許してやる」

 ・・・ありがとうございます。


「許さないにゃ!」

 え、さっき許してくれたんじゃ・・・って、ミケさん。久しぶりだな。なのに随分ご立腹だけど何かあった?

「これにゃ!」

 ミケさんの手には、さっきのフィギュアと、それについていた商品紹介?の紙。

「ネコは被り物なんかしなくても、この世で一番かわいいにゃ!!」

 ポカポカとミケさんに殴られた。気持ちは分かるけど、僕に八つ当たりするのはやめてくれ。

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