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第34話

皆様こんにちは。くまくま、だ。


ヌシさん、今月こそパソコンを貸せ。

『うん? 何に使うの? 買い物でもするの?』

 何を言っているのさ。仕事をするんだよ。もう2回も僕の名文をお送りできていないんだぞ。

『あれ、もう書くのをやめたと思ってた』

 何を言っているのさ。先々月はヌシさんが忙しいからってパソコンを使わせてくれなかったし、先月はゴールデンウィーク中で全力で浮かれれてパソコンをカバンから出しすらしなかった。

『なら勝手に出して使えばよかったじゃない』

 僕の手でカバンのファスナーが開けられるわけないだろう!! 

『・・・パソコンのキーボードは打てるのに』

 打てないよ。僕の手でキーボードを打つのは無理だって。なんなら僕専用のパソコンを買ってくれてもいいんだよ? そうしたらヌシさんから借りなくてもすむ。

『パソコンを買うくらいなら、ステラさん達に貢ぐ』

 ステラさんって誰だよ。

『水族館のシャチ』

 シャチかよ! シャチに貢ぐくらいなら、僕の仲間を増やしてくれ。

『増えてるよ。全員揃ったら、まとめて会わせてあげる』



 さて、新たな出会いに胸を膨らませつつ、僕が必死で文書をひねり出してる横で、ヌシさんは動画をみている。・・・シャチ動画を。

『ね、くまくま。白いシャチがいるんだってさ。可愛いなあ、見てみたい』

 ふん、なにさ。白いシャチより白いパンダのほうがいいに決まってる。え、そんなにいるわけないって? ふふん、これを読んでみな。僕はネット記事をヌシさんに見せた。

『・・クマじゃん』

 いや、パンダはクマ科の動物だからね? なんなのさ、その感想は。白いパンダのほうが可愛いだろう?

『目の周りが黒くないだけで、こんなに印象が変わるなんてビックリだよ。あの黒い部分は思っていた以上に重要だったんだね』

 そうだろう? だからシャチだって黒い部分が重要だと思うぞ? そしたらヌシさんはこう言いやがった。シャチのチャームポイントは目の上にあるアイパッチだし、白いシャチでもアイパッチはちゃんと分かるから、黒くても白くてもどっちも可愛いだと。くそう、絶対にクマのほうが、僕のほうが可愛いぞ。負けるもんかぁ!

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