皆様こんにちは。くまくま、だ。
実は、数か月前のことになるけど、我が家には新しいヌイグルミが加わったんだ。ジ三郎(あ、僕をひっぱたいたことがあるオレンジ色のシャチのことだ)よりは落ち着いたオレンジ色のボディに焦げ茶色の羽、小脇に本を抱え、どこを見ているのか分からないミミズクだ。ヌシさんのボスから贈られたものらしい。彼(妻と子がいるらしいから、きっとオスだろう。いや今の時代、こういう考えは差別だとか言われるんだろうか)が来た日、ヌシさんと旦那さんは、彼の体色でもなく持っている本でもなく、体にある模様?に釘付けだった。そして口を揃えて「あれにとても似てる。きっと無関係だろうけど、とっても似てる」と言っていた。何に似てるのか聞いたけど、教えてくれなかった。
さて、そんな彼にヌシさんは独自の名前を付けよう・・・・・という様子はまったくなかった。どうしてさ。僕たちクマやシャチには名前を、実に安直な名前をつけているのに。
『安直だけ余計だよ。・・・まあ、一匹いや違う、一羽しかいないからあえて名前をつけなくてもいいかなって思って』
ああ、そういうこと。じゃあ、彼は我が家唯一のミミズクってことだね。
『そうだね、今のところは』
さて、そんなミミズクの彼に熱い視線をおくる二匹、いや二頭のシャチ。今の時点で新入りの彼女たち(これはヌシさんがメスに違いないと思っているだけで、実はオスかもしれない)が視線を送りつつ交わす言葉の内容は、
「あのミミズク、丸々していて美味しそうだよね」
「ミミズクって美味しいのかな」
「先輩たちに聞いたけどさ、知らないって」
「先輩たちも食べたことないんだ」
「捕まえられないかな」
「どうだろう。海鳥を捕まえる動画なら見たことあるけど」
「え、どうやって?」
「あのね~」
そんな二頭の会話を聞いた僕は戦慄し、ヌシさんはミミズクを移動させた。
「「ヌシさんが、ミミズクを逃がした! ひどい」」
『いや、ミミズクはおいしくないから。・・・多分』
「「お詫びに、なにか頂戴! 美味しいもの!!」」
あれがいい、これも欲しいと大騒ぎの二頭。ヌシさんが困った顔で僕に救いを求めてきた。
『どうしよう、くまくま。もういっそ、ミミズクを与えてしまおうか』
いや、それはやめとけ。こう、うん、それをすると後々面倒なことになりそうな気がする。
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