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第37話

皆様こんにちは。くまくま、だ。


 ヌシさんの「欲しいモノであふれかえっている」状態は、まだまだ健在だ。しかも、ヌシさんの「欲しいモノ」、眼の前だけじゃないんだ。

『今月はアレが出る。あ、来月にアレがでるのかぁ。再来月には、ええと』

 そう、未来に向かって欲しいモノにあふれてるらしい。

『再来月には、アレの日があって、その次の月は・・・』

 何があるんだよ、何が。まあ、何があるにしろ、きっとまたモノが増えるんだろうな。ああ、ただでさえ部屋の中が片付いていないのに、さらに散らかるのか。僕の居場所、侵略されたりしないよな? もう既に、僕のとなりにはシャチのぬいぐるみが鎮座していて、すごい圧迫感なのだが。

「くまくまさん、こんにちは。僕、アースっていいます。よろしくです」

 あれ、ヌシさんにしてはまともな命名だな。

「僕は実在のシャチがモデルなんです」

 ・・・もしかして。

「うん、モデルのシャチと一緒の名前です」

 ああ、それなら納得。

「それでですね、僕のモデルのシャチなんですけどね」

 アースのとうとうと話し始めた。いや、僕、興味ないんだが。とはいえ、「興味ない」とは言えず、聞いているふりをしていたんだ。

「じゃあ、くまくまさん。テストです!!!」

 は、テスト? 何のテストさ。

「僕のお腹にある、3つの黒いもの。それぞれ何かを上から順に答えてください」

 へ、黒いもの? いや、うちにいるシャチのぬいぐるみたちのお腹にそんなものあるのはいないぞ? アースだって当然ないだろう?

「はい、ではお答えをどうぞ!」

 アースがそう言って僕にお腹を見せつけてきた。あ、本当だ、黒いものがある。え、えーと。答えられずにいると、アースは泣きそうな顔になり、たまたま側にいたヌシさんの目が冷たくなる。な、なにさ。

『アース、気にすることないよ。くまくまはね、アースが自分にないものを三つも持っているから、拗ねているだけだよ』

「そうなの?」

『きっとそうだよ。アースは我が家のシャチたちの中で唯一のものを持っているんだから、くまくまなんて気にせず、胸をはっていいんだよ』

「うん! そうする!」

 いやいやいや、ないって決めつけないでくれないか? ヌシさんが気づいていないだけで、もしかしたらあるかもしれないだろ?

『いやない。だって』

 ヌシさんが教えてくれた三つは、確かに僕にはないものだった。でもだからなんだ。僕はぬいぐるみだ。別になくったって、これっぽっちも困らない!

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