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第42話

皆様こんにちは。くまくま、だ。



さて、先月は失礼してしまい申し訳ない。

失礼してしまった理由。誰が悪いって、ヌシさんが悪い。僕は全く悪くない。約1か月前、ウキウキで出かけていったかと思ったら、落ち込んで帰ってきたんだ。あまりに沈んでいたからパソコンを使わせろって声をかけられなかったんだ。で、ヌシさん。先月は何があったのさ。

『シャチが引っ越ししてた』

 ・・・いや、ヌシさんの部屋にいるシャチたちは、いなくなっていないよね? むしろ増えたよね? 何を言っているのさ。

『誰がシャチのぬいぐるみが引っ越したって言ったのさ。ぬいぐるみじゃない、本物の、リアルのシャチ!!』

 ・・・最初から順を追って詳しく説明しなさい。




 話すのが下手くそなヌシさんの話をまとめるとこうだ。

 久しぶりに本物のシャチを見に水族館に行ったら、なんと前日の夜にシャチが1頭別の場所に移動されたんだそうだ。その事実を知らずに水族館に行ったヌシさんは、随分とショックだったそうなんだ。いやでも、まだ2頭もいるんだろ? いなくなったわけじゃないんだし。

『分かってないなあ、くまくま。3頭とも推しシャチなの! 揃っていて欲しかった!』

わ、分かった。分かったから首を絞めるな!

『分かればいいのよ、分かれば』

 それで、新入りのシャチのぬいぐるみに、移動したシャチの名前を付けたんだな。それだけでは飽き足らず、自分で決めたシャチたちの組み合わせまで変更し(そういうの「生木を裂く」って言うんだぞ)、相手の名前すらも変えたのか。で、あぶれたシャチの相手は見つかったのか?

『大丈夫。もう見つけて、我が家にくるように手配してある』

 ・・・そうかい。最近のヌシさんは、シャチにばかり手厚くて、僕には随分と冷たいじゃないか。ドライブのお供に連れていくのもシャチばかり。たまには僕も連れていけよ。そして、僕の仲間も増やしてもらいたいな。

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