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プロローグ

「ねえサイトに載せる文章、書いて? 本名でも匿名でもいいから」

 と言われ、そして、こんな感じでと見せられたサイトに掲載されていたものは、普段絶対書かない長さ(そして内容)だった。

 うん、「こんな感じ」は無理だ。というか、(以下、自主規制)

 つぎは、本名か匿名か。匿名にしよう。本名をだす度胸はない。まったくない。そしてなにより、私の名前は映えない。

 さて、匿名にするとしてどうするか。………思いつかない。本名をもじる(よくあるパターン)、好きなキャラクターの名前をもじる(きっとこれもよくあるパターン)、………そういえば昔「もじバケる」って食玩があったな。まだあるのかな…(脱線)。

 よし、決めた。「くまくま」でいこう。昔、わに(のぬいぐるみ)が書いた本を読んだことがある、あれを真似しよう。次は、何を書くかだけれど…………。無い、まったく思い浮かばない。仕方ない、個人的なことを書こう。

『なに言っているのさ、僕が書くんだろう、僕が! ヌシさんは引っ込んでいていいから。なんならもう休んでくれていいから』

 唐突だな。それに、そんなに邪険にしなくても…。

『書くことがないんだろう? 僕なら書くことあるから、任せなさい!』

 え、大丈夫? 一体何を書くつもり?

『最初だから、まずは自己紹介。あとは、なれそめ』

 なれそめって……って、それってやっぱり個人的なことじゃない! ちょっと待って、ちょっと! あー、パソコンを強奪された……。

 さて、パソコンも確保したことだし、まずは自己紹介からだ。

 名前は、くまくま。でも、本名でなはない。性別と年齢は不明。外見は桜色のくまのぬいぐるみ。チャームポイントは、耳のところの桜の花。え、そんなアクセをつけているなら女の子じゃないかって? 違う違う、あくまで「不明」

 ヌシさんとの出会いは、ヌシさんの旦那さんのサプライズによるものだ。僕(正確には僕の仲間)を手に入れられず落ち込んでいたヌシさんのため、旦那さんが僕をスカウトしたのだ。僕を紹介された時のヌシさんの驚きようと喜びよう、いまでも覚えている。狂喜乱舞という言葉がぴったりだった。そんな僕を働かせようというのだから、ヌシさんも随分とき、……痛い。

『誰が働けと言ったのよ。自分から言い出したんでしょう?』

そんなはずは……、え、前の文章を読み返せって? 読み返したところで………、あれ? おかしいな、ヌシさん、まさか書き換えてないよね?

『パソコンを強奪した張本人が何を言っているの?』

あ、覚えていたんだ。

『忘れっぽいのは認めるけど、十数行前のことまで忘れるほどじゃないわよ』

ということは、

『書くことがあると言い切ったんだから、きっちり書いてね』

わかりました、書かせてもらいます。

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